(平等院鳳凰堂、上品下生扉絵、77×58cm)
平惟茂の臨終にあたって、源信が自ら赴くことができず、身代わりに「極楽迎接曼荼羅」という図を贈って、これを見て往生せよといった。歴史上は、これが極楽往生図あるいは阿弥陀来迎図の走りといわれる。阿弥陀来迎図は、庶民が極楽に往生するための切札として非常な信仰を集め、平安時代の末から鎌倉時代に掛けて沢山作られた。
平等院の扉絵に描かれている阿弥陀来迎図は、その最も早い時期の作品である。観無量寿経の記述をもとに、九品の阿弥陀来迎の様子が、正面および両側面にある計12面の扉に描かれている。
これはそのうちの、上品下生の扉絵で、死者を迎えに来た阿弥陀如来が、死者と従者を従えながら極楽へ戻っていく様子が描かれている。多くの阿弥陀来迎図と異なり、この絵の中の阿弥陀如来は、横顔を見せている。
(平等院鳳凰堂、下品上生扉絵、75×97.5cm)
この絵の中の阿弥陀如来は、斜め前方を向いて願者の方を見、来迎院を結びながら白毫の光りで願者を照射している(その光が線で表されている)。従者はみな、動きを感じさせる。
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