聖徳太子絵伝

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(全十面、各面約190×140cm、国立東京博物館法隆寺献納本、11世紀)

やまと絵を飾るのは説話画や縁起絵であるが、そのルーツともいえるのが聖徳太子絵伝である。もっとも古いもとしては、宝亀二年(771)四天王寺の絵堂に聖徳太子絵伝障子絵が存在していたことが知られるが、現存する最も古いものは、法隆寺絵堂に伝わってきたものである。これは現在、法隆寺献納本として、国立東京美術館に保存されている。

もともとは、法隆寺の絵堂の壁の、東面一間、北面三間、西面一間の五間に計十面の絵がコノ字型に配列して飾られていた。各面とも、綾地を縫い合わせた縦約190センチ、横約140センチの大画面である。

聖徳太子の誕生から葬送までの生涯にわたる六十近い事跡について、描いていくという手法をとっている。後に盛んとなる絵巻物が個々の出来事を巻物の形で順次展開していくのに対して、こちらは同じ平面で展開したような形になっている。

延久元年(1069)に摂津の国の絵師秦致貞によって描かれたと伝えられている。その後、数回にわたって修理・補筆されたことがわかっており、どこまでが当初の姿をそのままに残しているのか、特定するのが困難な状態にある。

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