信貴山延喜絵巻2:延喜加持の巻

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(信貴山延喜絵巻:延喜加持の巻、31.7×1290.8cm、朝護孫子寺)

「延喜加持の巻」は、命蓮が醍醐天皇の病気を治す話である。重病になった醍醐天皇に対して、なすすべのなくなった宮中が、験者として名高い命蓮に勅旨を遣わして助力を請う。すると命蓮は、山上から内裏に護法童子を遣わし、たちまちにして天皇の病気を治す。よろこんだ宮中が、再び勅旨を遣わして、褒美を尋ねたが、命蓮はとりあわなかった、という話である。

上の絵は、命蓮に使わされて代理に向かう護法童子。長い雲に乗っている。回転する輪宝を先導にして、右手に剣、左手に索を持ち、首輪にはおびただしい数の剣がぶら下がっている。これらの小道具で、悪霊を威嚇しようというのである。護法童子は、信貴山の本尊である毘沙門天の眷属とされている。

なお、この絵には含まれていないが、左手には雲の下にのんびりと広がる田園風景が描かれている。田園の一角には二人の女が、何事がおきているのか知る由もなく畑仕事に精を出している。そのうちの一人の女に負ぶわれている幼児が、空中を見上げて護法童子を見送っている。

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(信貴山延喜絵巻:延喜加持の巻2)

この絵は、醍醐天皇の病気治癒の謝礼に使わされた勅使が命蓮に面会する場面を描く。命蓮は、勅使の申し出をはねのけて、何もいらないと答える。

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