あす、あさって、しあさって

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明日を指す言葉を、「あす」とか「あした」とかいう。どちらも、古い言葉で、「あさ」と同源の言葉と思われる。もともとは、夜が明けた時点を指して言った。

昔の日本人にとって、一日は夜明けに始まり日暮れに終わった。それ故、一日の長さは季節によって異なったものだった。夜は夜で別の基準が採用され、日暮れから夜明けまでをひとつの単位として考えた。そして、夜全体を五つに区分し、初更、二更、三更などといったものだ。「夜が更ける」とは、ここから来ている。

そのような時間感覚のもとで、「あす」あるいは「あした」は、夜の終りであるとともに、一日の始まりをも意味した。それが、今日のように「明日」の意味に転用されたわけである。

明後日をあらわす言葉は、平安時代頃には「あさて」といわれていた(蜻蛉日記など)。それが、室町時代に「あさって」になった。もともとの形は、「あすさりて」であったらしい。つまり、明日が去ったあとに来る日=明後日という意味である。

明々後日をあらわす言葉「しあさって」の「し」は「さい=再」が転化したとする説がある。地方によっては、「やのあさって」というところもある。東京地方では、「しあさって」の翌日を「やのあさって」という。また「しあさって」の翌日以降を、「ごあさって」、「ろくあさって」という地方があるということだが、これは「し」から連想した語呂遊びの類だろう。






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