白楽天の七言律詩「正月三日間行」(壺齋散人注)
黄鸝巷口鶯初語 黄鸝巷口 鶯初めて語り
烏鵲河頭氷欲銷 烏鵲河頭 氷銷(き)えんと欲す
緑浪東西南北水 緑浪 東西南北の水
紅欄三百九十橋 紅欄 三百九十橋
鴛鴦蕩漾双双翅 鴛鴦 蕩漾す 双双の翅
楊柳交加万万条 楊柳 交加す 万万の条
借問春風来早晩 借問す 春風の来たること早晩
只従前日到今朝 只だ前日より今朝に到る
黄鸝巷のあたりでは鶯が初めて鳴き、烏鵲河のほとりでは氷が消えようとする、東西南北どの方向でも緑の波をたたえた水が流れ、三百九十もの紅欄の橋が架かっている(黄鸝巷:蘇州にある小路の名、烏鵲河:蘇集を流れる運河)
水面にはおしどりが羽を並べて浮かび、水辺では楊柳が幾万もの枝を垂れる、お聞きするが、春風はいつ吹き始めたのですかの、たった昨日から今朝にかけてですよ
宝暦二年(826、55歳)の正月、蘇州の町を散策しながら詠った詩。蘇州は水の都、町中を運河が網の目のように流れ、そこに三百九十もの橋が架かっている。中国有数の美しい町だ。
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