日本の極右の担い手

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10月2日の朝日の朝刊に、在特会の体質を分析した社会学者樋口直人氏の小文「極右を保守から切り離せ」が載っているのを読んで、考えさせられるところがあった。氏は一年半の期間をかけ、在特会のメンバー34人に直接インタビュー調査を行い、そこから彼らの特徴を分析・抽出したという。それによれば、彼らの大部分は高学歴で、正規雇用の職についており、しかもホワイトカラーが多かった。つまり、俗にいう勝ち組が大多数を占めるというのである。

これまでの通念では、外国人を対象にした差別的なデモは、社会に対する不満や不安が産み落とした排外主義運動で、その担い手は社会の中で弱い立場にある者、つまり負け組だと思われていたのが、実態はまるで違っていることに驚いた、と氏はいうのである。

社会の勝ち組にあるものが極右的な運動を支持している例は、ツイッターで橋下徹をフォローしている連中にも見られるようだ。政治社会学者の松谷満氏が世界1912年7月号に寄稿した「誰が橋下を支持しているか」という小論は、橋下の支持者の実態を詳しく分析したものだったが、それによれば、橋下の支持者の大多数も、いわゆる勝ち組に属するような人々だった、ということだった。

こうした極右の担い手が、社会の勝ち組によって占められているというのは、ある意味でショッキングだ。彼らの排外主義的な行為は、社会に対する不満や不安のあらわれなのではなく、単なる弱い者いじめに映る。弱い者いじめが大手を振ってまかり通るような社会は、やはり病んだ社会だといわねばならない。日本はいつから、こんなに病んだ社会になってしまったのか。筆者にはそれがショッキングな事態として映るのだ。

ところで、在特会によるヘイトスピーチが問題になって、ヘイトスピーチを法律で規制すべきだという議論が起こっている。色々な議論がありうるだろうが、筆者は慎重に対処すべきだと思っている。ヘイトスピーチといえども言論活動の一種には違いないのであるから、それを法律で規制することには、言論の自由に対する一種の危うさも付きまとうと思うからだ。






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