白楽天の七言絶句「香山寺二絶」其一(壺齋散人注)
空門寂静老夫間 空門 寂静にして 老夫間なり
伴鳥随雲往復還 鳥に伴ひ 雲に随って 往き復(ま)た還る
家醞満瓶書満架 家醞は瓶に満ち 書は架に満つ
半移生計入香山 半ば生計を移して香山に入る
空門は静まりかえりそこを行く老人も静かである、鳥に伴い雲に従って行きつ戻りつしている、自家製の酒は甕にいっぱいあるし、書籍は棚に満ちている、生活をなかば移して香山に入ったのだ(間:閑に同じ)
晩年の白楽天は、洛陽に隠居しながら瞑想と詩作の日々を送ったが、そんな生活の中で仏教に傾倒していった。その傾倒ぶりは、太和六年(832、61歳)、洛陽竜門の東にあった香山寺を修築し、自ら香山居士と称したほどだった。
この絶句は、太和六年の作。修築したばかりの香山寺に生活の大半を移したことを詠ったものだ。
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