源氏物語絵巻2:柏木

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(源氏物語絵巻、柏木1)

柏木の巻は、源氏物語54帖のなかでも最も変化に富んだ部分ということもあってか、源氏物語絵巻においても3面が割りあてられている。それぞれの絵が理解しやすいように、背景を整理すると次のようになる。

源氏は、40歳になるのを目前にして、異母兄の朱雀院から姫君(女三宮)を降嫁される。ところが、頭の中将の息子で、源氏とは伯父甥のように親しくしていた柏木が、この女三宮にかねてから懸想していた。そして、源氏の邸に足しげく出入りする立場にあった柏木は、源氏の目を盗んで女三宮と契りを結んでしまった。その結果女三宮は懐妊した。後の薫の君である。

自責の念に駆られた柏木はついに病に臥せってしまい、女三宮の方も、薫を出産した後は、この世をはかなんで尼になりたいと思うようになる。

上の絵は、尼になりたいと念願する女三宮が、父君朱雀院の見舞いを受けた席で、その思いを打ち明ける場面である。左端に産褥の床に伏せっている女三宮が描かれ、その右側に、憂い顔の朱雀院が描かれている。朱雀院は、事情をよく知らないので、娘がなぜ尼になりたいなどと言い出したのか、よくわからない。一方源氏のほうは、女三宮と柏木の不義について感づいている。

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(源氏物語絵巻、柏木2)

柏木と源氏の息子夕霧は、実の兄弟のように仲がよかった。そこで、柏木が床に伏せるようになると、夕霧はたびたび見舞いに訪れた。

柏木の再起が難しいことを知った帝の計らいで、柏木は権大納言に昇進した。その知らせを持って夕霧が柏木を訪ねると、柏木は威儀をただして知らせを受け取った。

この絵は、その場面を描いたものである。烏帽子をかぶって夕霧を迎える柏木に対して、夕霧はいたわるように接している。この場で、柏木は源氏の許しを願うのだが、夕霧のほうは、源氏が怒っているなどありえないといって慰める。

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(源氏物語絵巻、柏木3)

女三宮が生んだ薫は、すくすくと育ち、50日の賀を迎えることになった。その賀の席で、源氏は薫を胸に抱くのであったが、この子の顔つきが柏木に似てきたらどうしようなどと、考えずにはいられなかった。

一方、女三宮のほうは、尼になる準備に髪を半分切下ろして源氏を迎えた。

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