源氏物語絵巻五:夕霧、御法

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(源氏物語絵巻:夕霧)

夕霧は、柏木の未亡人落葉の宮に思いを寄せるが、宮はなかなかなびかない。そのうち、母君一条御息所の病気見舞いに、小野の山荘に移ってしまった。夕霧は、落葉の宮を追って小野の山荘まで行き、思いに応えてくれるようにかきくどくが、宮はあいかわらず拒んだままであった。そうこうしているうちに、柏木は小野の山荘で一夜をあかす羽目になった。

夕霧と落葉の宮の間を怪しく思った御息所が、夕霧のもとに文を使わして様子を聞こうとすると、夕霧の妻雲居の雁が嫉妬に狂ってその文を奪ってしまう。そんなわけで返事も書けないでいるうち、御息所は心労のあまりなくなってしまう。

夕霧は、その後落葉の宮を京に移し、彼女を強引に犯してしまう。雲居の雁の嫉妬はいよいよ烈しくなり、ついには家を出て、実家に帰ってしまう。その後で、舅から恨み言を言われたりして、夕霧は途方にくれるのであった。

この絵は、御息所からの文を広げようとする夕霧から、雲居の雁が文を取り上げようとする場面である。背後から夕霧に襲い掛かる雲居の雁と、障子の外でその気配を伺っている侍女たちが描かれている。

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(源氏物語絵巻:御法)

御法の巻は、源氏と苦労を共にした妻紫の上の死を描いている。紫の上は、まだ子供の頃に源氏が略奪同様に自分の手元にとどめ、成長後は自分の妻にした女性である。しかし、子を産むことがなかったので、源氏の他の妻たちに挟まれて肩身の狭い思いをすることもあった。そして、大病を患ったことがきっかけで、次第に病みがちとなり、ついには死んでしまう。

源氏は、明石の生んだ子を紫の上の養子として育てさせた。その子が源氏の願いにこたえて中宮となった。その明石の中宮が、養母の紫の上を病床に訪ねた。紫の上は、明石の宮に言い残したいことがあったのだが、なかなか言い出せないでいるうちに、明石の宮に見取られながら息を引き取った。

この絵は、明石の中宮が紫の上の病床を訪ねる場面。脇息にもたれかかっているのが紫の上。その手前で後姿を見せているのが明石の中宮。そして明石の上の正面でややうつむき加減に座っているのが源氏である。

関連サイト:日本の美術 http://j-art.hix05.com/

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