源氏物語絵巻九:東屋

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(源氏物語絵巻:東屋1)

「東屋」の巻は浮舟という女性を中心に展開する。浮舟は、宇治八の宮と中将の君との間に生まれた娘で、中君とは異母妹に当たっていた。薫は、彼女の存在を中君を通じて知ったが、大君の面影と良く似ているので、心が引かれたのであった。しかし、浮舟の母は身分の低い常陸の介と結婚しており、また、浮舟が八の宮に認知されていなかったこともあって、薫は、相手が自分の結婚の相手としては不相応に思った。

そうこうするうち、中将の君は、娘の浮舟を中君のところに預けることにした。すると、匂の宮が、浮舟の存在に気づき、中君が入浴している間に、浮舟の手を握り、名を名乗るようにせまった。

絵は、匂の宮から逃れた浮舟が、中君と話し合う場面。洗い髪を侍女にくしけずらしている中君を前に、物語絵を手にしているのが浮舟。二人の傍らでは、侍女が詞書を読み上げている。

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(源氏物語絵巻:東屋2)

匂の宮と浮舟との間のことを浮船の乳母から聞かされた母の中将の宮は驚いて、浮舟を三条あたりの小家に隠した。薫は、あいかわらず浮舟が忘れられないでいたが、弁の尼から、彼女が三条の隠れ家にいることを聞いて、是非手引きしてくれるように依頼する。

その当日、弁の尼は一足先に三条の隠れ家に赴き、薫の来るのを待った。薫が車で到着すると、その匂いが風に乗って漂い、侍女たちははっとするのだった。

結局浮舟と会うことができた薫は、彼女を車に乗せて、宇治に戻ったのだった。

絵は、三条の隠れ家について、案内を乞う薫を描いたもの。後ろ姿を見せて、臥せっているように見えるのが浮舟。その右隣の女性が弁の尼と思われる。尼といっても、彼女の場合には、髪を下ろしてはいない。

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