マイナス成長は意外だった?

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昨日(11月17日)、7月~9月期のGDPの実質成長率が公表された。年率換算でマイナス1.6パーセント、二期連続のマイナス成長であり、日本経済が本格的な不況局面に入っていることを証拠立てた形だ。この結果株価は急落する一方、円安も進んだ。気味の悪い展開といえよう。

この数字を前に、日頃経済アナリストを自認している人間たちが異口同音に意外だ」と言っているのが印象的だ。筆者に言わせれば、意外でも何でもない。経済の実態を反映したごく当たり前の数字だ。それを意外だと受け取るのは、経済の実態を直視していないからだ。彼らは経済の実態を直視する代わりに、自分の願望を現実に投影しているに過ぎない。彼らにとって是非こうあってほしいこと、それが彼らにとっての判断の前提になる。そうした前提で現実を見るから、現実がまるで違ったふうに見えてしまうのだ。

彼らがそういう判断をするについては、それなりの事情があったことも確かだ。そのなかで最も大きな要素は、大企業の収益がドラスティックに改善されていること、それをもとに株価の水準が好調なこと、などだろう。だがこれらの要素は、実体経済の良くなったことを反映しているわけではなく、安倍政権のいかさまな金融政策によってもたらされているものだ。それを筆者はデヴァリュエーション政策と呼んでいるが、要するに円の価値を意図的に破壊することで円安を呼び寄せ、それによって株高を誘導しようとするものだ。

今回の場合には、円安と株安というダブルショックに見舞われた。普通円安は株高を招くところを、株安を伴ったということは、日本経済が深刻な事態に陥っていることのインデックスだと言ってよい。

もはや、アベノミクスに浮かれ騒いでいる場合ではない。それなのに、安倍晋三総理大臣は、解散総選挙だなどと言って騒いでいる。その名目として、消費税アップの先送りの是非を国民に判断してもらいたいなどと言っているが、そんな言い訳をまともに受け取る者はほとんどいないだろう。経済界でさえ、今は選挙などやってる場合ではないと言い、消費税は予定通りにアップしてもらいたいと主張している。それのみか、消費税アップと抱き合わせに、企業減税も是非やって欲しい、などと虫のいいことを言っている。






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