鳥獣戯画3(猿の僧正)

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続いて袈裟衣を着た猿の僧正が描かれる。兎が鹿を導いてやってきたのは、僧正への引き出物のつもりだろうか。手前には、平伏する狩衣姿の猿と、その下男らしい猿が描かれているが、僧正に法会を依頼した者なのかもしれない。だとすると、鹿の引き出物は、この猿から僧正へのお布施ということになる。

右手に高山寺の印が押してあるところは、紙のつなぎ目だ。此のつなぎ目を境にして、前後の絵はもともと別のものだったと考えられる。

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つづいて、蛙が猪を引っ張ってやって来る。これも引き出物だと思われる。猪の後ろにいる兎の後ろ姿は、耳だけみえて頭は見えない。

一番後ろには、犬と兎が、それぞれ草履やパラソルを持って続いているが、後のほうに気を取られている様子に見える。何事か、騒ぎが持ち上がっているらしい。

この画面でも、手前のものは濃く、奥のものは薄くという具合に、墨の濃淡によって前後関係をあらわす手法が見て取れる。

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