花咲ける騎士道(Fanfan la Tulipe):クリスチャン・ジャック

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クリスチャン・ジャック(Christian Jaque)の映画「花咲ける騎士道(Fanfan la Tulipe)」は、フランス民謡「ファンファン・チューリップ」を映画化したものである。民謡の方は、多くのフランス民謡と同じく童謡としての趣をもっており、したがってファンタスティックな雰囲気があるのだが、映画でもそのファンタスティックなところが最大限に発揮されている。とにかく見て楽しい映画だ。

民謡のファンファン・チューリップは、同名の少年が父親から餞別に五円玉を貰い、それを持って修行の旅に出た挙句、王様の兵隊になるという物語を歌にしたものだ。18世紀の半ばに流行したと言うが、その頃のフランスはルイ15世の時代で、対オーストリア戦争やヨーロッパじゅうを敵に回した七年戦争など、フランスは年がら年中戦争をしていた。だから、ファンファン・チューリップのような少年の武勇伝が人気となり、それが民謡にもなったのであろう。

映画の舞台も18世紀半ばのフランスだ。フランス王のルイ15世は、これから隣国と一戦始めるに際して、国中から兵士を徴用する。その徴用部隊がファンファン(ジェラール・フィリップ Gérard Philipe)という青年のいる村にもやってくる。ファンファンは女たらしで、村の娘を手籠めにした責任をとらされようとしていたところだが、その責任を逃れる口実に王の軍隊に入ることにする。徴用部隊にはアデリーヌ(ジーナ・ロロブリジーダ Gina Lollobrigida)と言うなまめかしい女性が同行していて、彼女がファンファンの運勢を占ってくれる。ファンファンはフランス王の王女と結婚するだろうというのだ。

ファンファンが占いの結果に驚いていると、二人の女性が何者かに追われているところに出会う。ファンファンはその女性たちを救ってやる。その女性のうちの一人はルイ15世の愛人として名高いポンパドゥール夫人であり、もう一人の女性はフランスの王女だとわかる。王女は、助けてくれたお礼だと言ってチューリップを一輪ファンファンに与え、今後はファンファン・チューリップと名乗るようにと薦める。この事態に直面してファンファンはすっかり占いを信じてしまい、自分はいずれはフランス王女と結ばれるのだと堅く信じるようになるのだ。

これで物語の舞台設定が整ったとばかりに、あとはファンファン・チューリップの武勇伝が延々と続く。入隊した連隊は、軍人ばかりではなく、その家族も住んでいる。ファンファン・チューリップはそのうちの一人、8人の子持ちであるトランシュと仲良くなる。しかし、連隊での訓練生活はファンファンの気にいらない。ファンファンは職務を放棄して勝手なことをしたために、営倉にぶち込まれたりする。

そのうちにファンファンは、王女に会おうと思ってトランシュとともに城の中に忍び入る。なんとか追っ手の追跡を振り切って王女と会えたまではよかったが、ついに王の家来たちに捉えられてしまう。王(マルセル・エラン)は王女の命乞いにも耳を貸さず、二人を絞首刑にせよと命令する。

ファンファンの運命を知ったアデリーヌは、自分の無責任な占いのためにこんなことになってしまったことを悲しみ、自分で王に命乞いに行く。王はアデリーヌの美貌に目がくらみ、アデリーナが自分の思いものになることを条件にファンファンを助けてやる。映画の中のルイ15世は、希代の好色家として描かれているわけだが、現実のルイ15世も女狂いで有名だったのである。

ファンファンを助けてもらっても、アデリーナは王に身をゆだねる気にはならなかった。彼女自身がファンファンを深く愛してしまったのだ。アデリーヌは王から詰め寄られると、王に平手打ちを食わせて抵抗する。王の家来に追われたアデリーヌは、ポンパドゥール夫人の機転で窮地を脱し、とある修道院に匿われる。

こうして、アデリーヌを巡って王の使者とファンファンらとの追いつ追われつの追跡劇が繰り広げられる。ファンファンはいったんはアデリーヌを手にしたのだが、結局は王の家来によって彼女を奪われてしまう。

こんな追跡劇の間にも、王の軍と敵の軍とが対峙していた。ファンファンらは追っ手の追及を逃れるために、とあるトンネルに潜り込んでいくが、その先は敵軍の陣地になっていた。そこでファンファンらは、トンネルから敵軍の陣地の真っただ中に躍り出ると、英雄的な戦いぶりを見せて、敵軍を壊滅的な混乱に陥れるのだ。

ファンファンらの手柄によって、戦わずして勝利したことを知った王は、ファンファンらの勇気をたたえるとともに、ファンファンの希望通り王女と結婚させてやろうという。すでに、王女ではなくアデリーヌを愛し始めていたファンファンは一瞬たじろぐのだが、王がこれが王女だと言いながら差し出したのは、ほかならぬアデリーヌだったのだった。王はアデリーヌを自分の養女としたうえで、ファンファンと結婚させてやろうという粋な計らいをしたわけである。

こんなわけで、この映画は原作にあるような少年の出世物語ではなく、青年の恋の物語になっている。そこがいかにも現代のフランス気質を反映しているといったところなのだろう。

この映画の最大の見どころは、ジェラール・フィリップの繰り広げる剣劇のシーンだ。全編ほぼすべてにわたって剣劇のシーンが出てくる。日本のチャンバラと違ってフランスの剣劇はサーベルでの打ち合い、突き合いだ。日本人が見ると、ちょっとピンと来ないが、欧米人が見ると血沸き肉躍るのだそうだ。しかもその剣劇のシーンは、まじめ一本やりの戦いではなく、随所にアクロバット的なショーの雰囲気に満ちている。なにしろ一人で大勢の敵を相手に、バッタバッタと相手を倒していくのである。その痛快さは、椿三十郎も恐縮と言った具合だ。

ところで、ヒロインを演じたジーナ・ロロブリジーダは、ブリジット・バルドーが現れる前の最もセクシーな女優として、一時世界を席巻したものだった。彼女のトレードマークは、豊満な肉体と、それを象徴する「むしゃぶりつきたくなるような」見事なおっぱいだった。そのおっぱいを、ジーナはこの映画の中で惜しみなく披露している。共演者のジェラール・フィリップでさえ、剣劇シーンの合間に彼女のおっぱいを見やっては、喜びのため息をついていたほどだ。








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