出石・城崎温泉:若狭・三丹の旅その三

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昼食後、バスは一時間ほど走って出石に着いた。ここにも、先年あひるの仲間で山陰旅行をした際に立ち寄ったことがある。その折には、街中で出石名物の皿そばを食った後に、沢庵和尚で知られる宗鏡寺を訪れたものだが、静ちゃんあひる始め、その時のことを詳しく記憶している者が一羽もいない。おおさんあひるなどは、トイレ休憩に立ち寄っただけで、散策をしなかったから、印象が記憶として残っていないのだろうなどという。

ともあれ、時の鐘のユニークな建物を見た後、街中を散策しながら宗鏡寺に向かった。寺は街の外れの、山の麓にあって、本堂の裏側に見事な庭園がある。そこに立ち入ると、ちょうど紅葉の盛りの折から、もみじが鮮やかに色づいている。この庭を見ただけでも来た甲斐があったが、もうひとつ古い梵鐘が本堂の横手に佇んでいて、それを撞いてもいいと言うので、皆で交代して撞いてみたところ、なかなか味わいのある音がした。

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バスの停留所に戻って来ると、出発にはまだいくらか時間があったので、皿そばを食うこととにした。一人前ずつ食うと、腹が膨れすぎて晩餐に差し支えるので、一人前五皿のところを、三皿ずつ食うことにした。なかなかの味だ。

その後、バスは円山川沿いに北上して、夕近く城崎温泉に着き、東山荘という宿に投じた。城崎温泉へ来るのは、あひるたちの仲間としては始めてだ。小生は四十年ほど前に来たことがあるが、その折のことは全く忘れてしまって、ほとんど何も覚えていない。たしか、京都から山陰線に乗って来たと覚えているが、下りた駅の様子も街中の様子もほとんど覚えていないのだ。年月のせいなのか、自分が耄碌したせいなのか。ともかく、情けないことだ。

この温泉は、小さな旅館が集まってできており、それらの旅館が共同で運営する外湯というのが七か所ある。それを一つ一つ巡って歩く七湯めぐりと云うのが話のタネだと言うので、皆で出かけてみた。だが、七湯全部入るわけにはいかないので、一番風情のありそうなところを選んで中に入った。そこは、御所の湯といってかなり規模の大きな湯屋なのだが、入って見るとすさまじい混みようで、まるで芋を洗うような有様である。丁度夕食前の一番人が出る時間帯なので、こんなに混んだのだと思う。四国の道後温泉も混んでいたが、それ以上に混んでいたのにはびっくりした次第だ。

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ミーさんあひるといまちゃんあひるは、もう一湯浸かると言って、隣の一の湯に入って行ったが、残りの五羽のあひるたちは、川沿いの小さなバーに立ち入って湯上りのビールを飲んだ。横ちゃんあひるが外の看板に出ていた値段を見て、安いから入ろうと言い出したのだったが、看板には三百円とあったのに、入って見ると五百円請求された。三百円と云うのは、テイクアウトの料金なのだそうだ。なんだか騙されたみたいだったが、湯上りのビールは格別にうまかったので、文句を言う気持は煙のように消えてしまった。

晩餐には蟹と但馬牛の鍋焼きが出て来た。昨夜はフライが出てきたりして、コンビニ弁当を食わされたような気がしたが、今夜はなかなか満足できる内容だ。料理に加え、仲居達も愛嬌があって、中々面白い。晩餐の会場は、畳の部屋にテーブルを並べたものだったのだが、そのテーブルが互いに離れすぎていたのでくっつけようとしたところ、そんなことをされては私たちの仕事がやりにくくなるからといって、無理やりもとに戻されてしまった。だが、その言い方に憎めないところがあったので、腹を立てることもなかったというわけだ。

食膳の話題が色々な方角にわたるうちに、何故か三島由紀夫が話題に上った。城崎温泉と縁の深い作家といえば志賀直哉が上げられるが、三島は城崎温泉とはかかわりがない。それなのに何故三島が話題に上ったか、よく覚えていない。覚えているのは、三島はあの道では両刀使いで、肉の穴なら雌雄を選ばなかったという旨のことを小生が披瀝したところ、しずちゃんあひるが嘴をとんがらがして、あら、あなた、わたくしの前でそんなことを言うなんて、それはセクハラというものよ、と抗議されたことだった。

食後は、昨夜同様小生らの部屋に集まり二次会に及んだ。席上、ここは兵庫県の例の号泣議員が毎日のように出張してきたところだというので、政治家たちのことが話題になった。この号泣議員がこのような行為をするのは、政治家の処遇にうまみがあるからで、そんなうまみがなければ、もともとそんなことをする気にはならないだろう。

一体全体、日本の政治家稼業にはうまみがありすぎる。だから、政治で飯を食う徒輩が輩出するのだ。イギリスのように、政治家は名望家に相応しくつつましい待遇で満足してもらい、その数も思い切って減らすべきだ。今の日本の政治家は、口利きが主な仕事なので、政治家が一人増えるたびに、利権話も増える仕組になっている。政治家の数が増えれば、それに比例して利権話がまかり通ることになり、それだけ納税者の懐が貧しくなる。これでは本末転倒ではないか。

こんな議論をしながら、夜の更け行くにまかせたのであった。







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