アメリカは新たな冷戦を挑発している:ゴルバチョフの警告

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今年83歳になったゴルバチョフだが、その政治的な言動はなお活発だ。最近はロシアを新たな冷戦に向かって挑発しているのはアメリカの方だと、ウクライナ危機を背景にしたTIMEとのインタビューで警告した。20世紀の米ソ冷戦を終わらせた一方の当事者の言い分だけに、この警告は世界中の関心を集めた。

アメリカを始め西側諸国は、ロシアによるクリミア併合やウクライナ東部での親ロシア派へのプーチンの肩入れに対して、一方的に非難したうえで、ロシアを封じ込める作戦に出ているようだが、これは一見理にかなった行為に見えるものの、本質的には危険なやり方だとゴルバチョフはいう。プーチンを一方的に力でやりこめるのではなく、対話をする努力をもっとするべきだ、というのである。

プーチンのこうした行動の背景には、それなりの理由があることを西側諸国は理解しなければならない、とゴルバチョフは言う。西側諸国は、いまやロシアを地方的な勢力としてしか見ていないが、それがプーチンの神経を刺激している。プーチンを始めほとんどのロシア人にとっては、自分たちを二流扱いする西側の態度が我慢ならない。二流扱いの最たるものが、ウクライナにおけるロシアの既得権を鼻から無視する姿勢だ。ウクライナに限らない、西側は、かつてのソ連勢力圏の諸国を次々とロシアから引き離し、西側に寝返るようにして来た。そうしてロシアをかつてのスーパーパワーから無力な二流国家へ追いやろうとしている。それが許せない。

ゴルバチョフは、プーチンやその支持者たちのこうした心情が十分理解できるという。人間というものは理屈だけで動いているわけではない。誇りというものが必要だ。ところが西側はロシア人の誇りを踏みにじろうとしている。ロシア人がそれに対して拒絶反応を起こすのはある意味当然のことである。ロシア国内でのプーチンへの支持率が80パーセントを超えているのは、そうした事情のあらわれだ。こう、ゴルバチョフはいうのである。

ゴルバチョフは、昨年までは、プーチンに対して批判的なスタンスを取ってきた。特に人権弾圧に対しては、権力者は自国民を恐れる必要などないと言って、厳しく批判した。それが今年は、プーチン批判を差し控えて、西側批判の声を高めるようになってきた。ロシア国内の愛国感情の高まりが、ゴルバチョフまで変えたということらしい。









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