限りなく暗黒に近い黒:ベンタブラック

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色が黒く見えるのは光を悉く吸収するからだが、100パーセント光を吸収するような物質はこれまでになかった。どんな黒でも幾分かは光を反射する。だから黒いドレスを着ていても、自ずから明暗が生まれ、それが立体感をもたらすことにもなる。もしも100パーセント光を吸収するような黒いドレスを着たら、まるで立体感というものが生ぜずに、それを見た人は平面的な紙細工のように見えてしまうだろう。

ところが最近、イギリスのメーカーが、限りなく100パーセント近い光を吸収する物質を開発したそうだ。「ベンタブラック」と名づけられたこの物質は、99.96パーセントの光を吸収する。直径2~3ナノメートル(ナノは10億分の1)の多数のカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)からできており、アルミホイル上で生成されるという。これで蔽われたアルミホイルは、光を殆ど反射しないので、凹凸もわからないほど暗黒に見えるそうだ。

ところでこの物質、どんな役に立つのか。空撮カメラや望遠鏡、赤外線検知器など、不必要な光を抑制することで性能が向上する機器への利用が考えられているそうだ。それ故、兵器産業や宇宙産業から熱い視線を集めているということだ。

(参考)「世界一黒い物質」、英企業が開発(CNN)







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