安倍政権は見かけほど磐石か

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昨夜、三粋人たちの経世問答を傍で聞いていて、ふと思うところがあった。それは、安倍政権はみかけほど磐石なのか、という疑念であった。たしかに安倍政権は、公明党と併せた連立与党として衆院の三分の二を獲得し、絶対的に優位な状況を引き続き維持することになった。この状況が今後四年間続く可能性があることを思えば、安倍政権はかなり磐石な政治基盤を獲得したと言えなくもない。しかし、自民党単独では改選前の議席を下回ったわけだし、沖縄では4議席のすべてを反安倍政権の候補者が制した。これは、磐石のなかにも綻びがみえる、ということではないのか。

その綻びのいくつかを検証してみよう。まず、改選前議席よりも減らしたこと。メディアの予想には、一時は自民党単独でも三分の二を超えるのではないか、というものもあった。こういう予想が出るということは、ある意味それが勝ち負けの判断基準になるということだ。その予想に達しなかったばかりか、改選前の議席よりも減らしたということは、ここへきて、自民党に対する有権者の目が一層厳しくなったことを物語っているのではないか。

投票率が、52パーセント台と、歴史的な低水準になったことも、安倍政権の綻びをあらわす指標の一つではないか。投票率が低くなれば、組織票頼みの自民党や公明党に有利に働くということは従前から言われてきたことだが、それが余り低くなるというのは、政治そのものへの有権者の拒絶反応が高まっているということで、その責任の大半は政権与党にあるといってもよかろう。つまり安倍政権は、半数近い有権者からノーを突きつけられたともいえるわけで、それが安倍政権にとっては大きな綻びと言えるのではないか。

今回の選挙では、次世代の党がほぼ全滅し、みんなの党も消滅した。この二つの党は、基本的には安倍政権よりのスタンスを取っており、安倍総理にとっては、言ってみれば頼りになる友人だったわけだ。場合によってはこれらの勢力と手を組むことによって、公明党を切り捨てて憲法改正以下の宿願を果せるという見込みもあった。それが一気に消えてなくなってしまったわけだから、安倍政権にとっては、それだけ政治的資源が減ったことを意味するだろう。

民主党の方はあいかわらずの体たらく振りで、わずかに11議席増やしただけだ。絶対的な数としては、自民党に対抗できるようなものではない。しかし、民主党以外の政党は、いずれも反政府の立場を強くして来ている。従来は、右の自民党より更に右の政党勢力があったわけだが、今回の選挙で自民党より右の勢力は消滅した形だ。その分、勢力配置としてはすっきりしたと言ってよい。つまり、数としては絶対的な自公連立与党に、いくつかの政党が対立するという構図ができあがったわけだ。この構図の中で、公明党は安倍政権の好戦的姿勢に一層の歯止めをかけるようになると予想されるから、その分、安倍総理のフリーハンドが制約されることともなるだろう。

しかし、今の所、安倍総理本人は強気のようだ。選挙後の記者会見では、自分に批判的なメディアを敵視するような態度を取り、その質問に全く答えようとしない傲慢さぶりだったし、また、今回の選挙によって示された沖縄の民意については、一顧だにするつもりがないと明言する始末だ。この傲慢さが一体どこから来るのか、筆者などには到底理解できないところだ。








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