餓鬼草紙3(京都国立博物館本)

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(施餓鬼に忍び寄る食水餓鬼)

京都国立博物館が収蔵する「餓鬼草紙」は、詞書と絵の組み合わせ七段からなる絵巻物である。各段とも、餓鬼の苦しみとその救済をテーマにした物語形式をとっている。

上の絵は第二段で、三十六餓鬼の一つ食水餓鬼を描いたもの。食水餓鬼は、水を求めても飲めない苦しみに身をさいなまれるのであるが、子孫が供養する水であれば飲むことができるとされている。この絵の中では、餓鬼の子孫と思われる人々が、施餓鬼の供養を行う様子が描かれており、墓に備えられる水を、餓鬼が窺っている。

この絵の中の餓鬼のように、餓鬼はどれも痩せ衰えた体に異様に大きな腹を抱えた姿であらわされる。

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(餓鬼の救済)

これは第五段。出展は不明であるが、まず右手に水が飲めずに火を呑んでいる餓鬼を描き、ついで左手に、仏の説教を聞いて深く悔い改めている場面を描き、最後に救済された餓鬼が、餓鬼の姿から解放されて水が飲めるようになった次第が、同一平面上に描かれている。

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(施餓鬼供養に集まる餓鬼)

これは第七段。阿難から餓鬼救済の方法を教えられた僧が施餓鬼供養を始め、そこに救済を求める餓鬼たちが集まっている姿を描く。

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