ドイツがギリシャのユーロ離脱を容認?

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メルケルのドイツ政府が、債務危機で混乱の続くギリシャについて、ユーロ圏からの離脱を容認する方針だと伝えられている。これを聞いて筆者は、オヤと思った。容認ではなく、奨励ではないのか、と。

ギリシャがユーロ圏のお荷物になってから久しい。それに対してユーロ圏の優等生たるドイツは、緊縮財政を強要するなど厳しい態度で臨む一方、なんだかんだと言って、実質的には救いの手をさしのばしてきた。にもかかわらず、ギリシャの状況は、基本的にはよくなったとは言えない。そこでドイツとしては、もう面倒を見きれないから、とっとと出て行ってくれ、ということなのではないか。

ギリシャがユーロ圏から出ていっても、その影響はたいしたことはない、という判断がその背景にあるのだろう。しかし、ギリシャが出て行くというのは、いずれスペインやポルトガルなどの南欧諸国にとって重い意味を持つ先例となるのではないか。

ギリシャが債務危機からなかなか抜けられないのは、独自の通貨を持たないためだ。ギリシャにとってユーロは、自国の実力以上の価値を持つことで、よいこともあるが、反対に悪いこともある。もっとも悪いことは、通貨の流通をコントロールできないことだ。そのため、たとえば日本のアベノミクスのような、金融政策を通じて経済をある程度コントロールし、そのことを通じて財政の立て直しを目指すという方法がとれない。

ギリシャがユーロ圏から離脱して独自通貨を持つようになれば、金融政策の弾力性を手にすることができ、そのことによって自力で経済を回復する道も開ける。だからユーロ圏からの離脱は、ギリシャにとってもよいことであり、ドイツなどの優等生にとってもよいことである。良いことづくめなのだから、ギリシャのユーロ圏からの離脱は、実現する可能性が高い。

だから筆者は、今回のメルケルのドイツの方針を、容認ではなく奨励だと捉えたわけである。







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