あひるたちの新年会:新宿三代目網元にて

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あひるの仲間たちと新年会を催した。場所は例年のとおり西新宿の居酒屋三代目網元。待ち合わせ時間の六時について見ると、すでに6羽のあひるが集まっていて、生ビールを飲んでいた。中に珍しい顔がある。福ちゃんあひるだ。彼の顔を見たのは、前々回の統一地方選の直後だったから、およそ八年ぶりの再会だ。お元気ですかと聞くと、おかげさまで毎日元気で過ごしています。元気ついでに地元の敬老会のメンバーにもしてもらえましたと言う。敬老会は75歳になると入れてもらえるのだそうだ。とてもその年齢には見えない。肌の色は艶々としているし、声もまだ若々しい。どう見てもおじいさんあひるには見えない、おじさんあひるだ。

ミーさんあひるが小生の書いた旅行記を読みましたと言う。よくもまあ、ことこまかく覚えていましたね。私などは、東京へ帰ってきたその日に、すっかり忘れてしまいましたよ。楽しかったという印象をのぞいてはね、と。すると、静ちゃんあひるが嘴をとんがらがして、あのお尻は何なんですの、と言う。いつ、あんなものを撮ったんですか。そのうえ、お尻の主に内緒で公開するなんて、あんまりじゃないですか。彼女は、小生が彼女のお尻を撮った写真をブログに載せたことに抗議しているのだった。いやあ、気分を害されたのなら、ごめんなさい。でも、かわいらしく映ってるでしょう、と弁解すると、そのかわいらしさに免じて許してあげる、と寛大なことをおっしゃった。

ところで、あれから城崎温泉で大きな火事があったというので、そのことに話題が集中した。あの場所は、我々が風呂上りに立ち寄ってビールを飲んだ店の周りのような気がする、と横ちゃんあひるが言うと、僕もそう思う、と今ちゃんあひるが同調した。あの店が焼けたかどうかは別にして、あの周辺が焼けたようですね、とオオさんあひるが請け合う。ところでオオさんあひるさん、旅館に忘れて来たカメラは戻ってきましたか。おかげさまですぐに郵送されてきました。

そのうちに、あんちゃんあひると、続いて少尉あひるが加わり、一堂九羽になった。これだけ揃うのは久しぶりのことだ。メンバーの内、足腰の立つものはみな集まったことになる。そう小生が言うと、早さんあひるやカトちゃんあひるはどうしているのかしら、という話になった。早さんあひるもカトちゃんあひるも湯布院には一緒に行ったけれど、その後は逢うことがなくなって、なんだかさみしい気分だね、とあんちゃんあひるが言う。そこから話題は、皆で湯布院に旅したことに及んだ。高原のリゾートマンションのようなところに泊ったこと、畑の真ん中に設けられたちっぽけな簡易風呂につかりに行ったこと、食事は一階のロビーで仕出し弁当のようなものを食わせられたことなど、共通する話題の外に、各自の奇想天外な体験談が次から次へと飛び出して、いつもの通り皆腹を抱えて笑いあったのだった。このメンバーは、集まるたびに湯布院での出来事に触れないことはないのだ。

ついで話題は次回の旅行のことに及んだ。今年は是非台湾旅行を実現しましょう。もう一年以上も前から、行こう行こうと掛け声ばかりで実現しなかったけれど、足腰が立つ間に行かないと、行きそびれるかもしれないから、今年こそは絶対に行きましょう、と横ちゃんあひるが音頭を取って言う。ついでに幹事役も横ちゃんあひるさんにお願いします、ということになった。台湾へは、かれこれ七・八年前に行ったことがあるけど、楽しかったよね。今度行くときは、台北から新幹線に乗って高雄の方まで足を延ばしましょう。

福ちゃんあひるも一緒に行きませんか、と小生が訪ねると、国外旅行はちょっと不安なので遠慮します、というようなことを言う。それなら、秋に北陸に行くというのはどうですか、と今ちゃんあひるが言う。秋には北陸新幹線が開通しますので、それに乗って金沢まで行きましょう。金沢の洒落た旅館に泊まってうまい物を食い、宇奈月温泉からトロッコに乗って黒部の渓谷を見物しましょうよ。それなら私も参加させてもらうことにしましょう、と福ちゃんあひるは言う。でも、黒部で遊ぶなら、あまり押し迫らないうちにいく方がいいですよ、雪が降ってきちゃうからね。

ともあれ、いい考えだ。初夏に台湾に旅行し、秋には北陸に旅行する。年をとってもなお、こんなに旅行が楽しめるなんてすばらしいではないか、というわけで、秋の北陸旅行の幹事役は今ちゃんあひるが引き受けることになった。さすがに話が早いのは、われわれあひるの特性なのです。

こんな訳で、今宵も楽しい酒を飲むことができた。おかげで小生は、前後を失するほど酔ってしまった次第です。






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