派遣はモノ扱い:厚労省担当課長の発言

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厚労省の、派遣労働を担当する現職の課長が、「派遣は期間が過ぎたら使い捨て、モノ扱いだった」と発言し、物議を醸している。この課長は、ただ本音を述べたつもりのようだが、それにしたって人を馬鹿にした話だ。派遣労働者と雖も人間だ。人間としての尊厳を備えている。それをモノ扱いして恥じない制度を、ほかならぬ行政の直接の担当者が推進する、というのは、どう見ても狂った世界の眺めと言うほかはない。

今の派遣制度は、小泉政権の時代に、竹中平蔵氏が音頭を取って整備したものだ。竹中平蔵氏はその後、派遣会社の会長に収まっている。最近は、派遣労働者をもっと都合よく使えるようにと、規制の全面的な撤廃を、声を大にして主張している。安倍政権も、その主張に応えて、派遣労働をめぐる規制を、全面的に取っ払い、一度派遣の境遇に陥ったら、二度と這い上がる事が出来ず、文句をいわずに黙々と働くほか道はないようにしたいと考えているようだ。

安倍政権を含めてこれまでの保守政権は、派遣労働について、多彩な働き方への要求に応えるものだと言ってきた。自分のしたい仕事を自由に選べること、それがこの制度の最大の魅力だと。しかし、派遣をめぐる選択の自由は、働き方を選ぶ自由になっていない、何故なら一度派遣の境遇に陥ったら、劣悪な労働条件のまま働くことを余儀なくされ、二度とそこから這い上がれないとうのが現実だからだ。これでは、選択の自由ではなく、自分を安く売り飛ばす自由に過ぎない。そんなものは自由とは言えない。人間はモノではないのだから、自ら進んでモノになる自由などないはずだ。






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