ネタニヤフの米議会演説

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イスラエルのネタニヤフ首相が、米議会で演説し、オバマ政権が進めている対イラン交渉を厳しく批判した。予想されていたとおりの行動とはいえ、米議会の場で米大統領を公然と批判したことは、今後の米猶関係に深刻な影響をもたらすだろうと予測される。

ネタニヤフがオバマを批判したのには、彼なりの計算があったようだが、ネタニヤフにそのような批判を、他ならぬ米議会の場でさせた共和党にも、党派的な目論見があったようだ。共和党は、イラン問題やウクライナ問題へのオバマ政権の対応を弱腰だと言って批判している。イランには強硬な経済制裁をかけて、国際社会から孤立させるべきだと主張しているし、ウクライナ問題に対しては、ウクライナ軍に武器の供与をする一方、あらゆる手立てを使ってロシアを懲らしめるべきだと主張している。

しかし、こうした主張が、場合によっては相手との戦争をも考慮に入れたものかと言えば、必ずしもそうではないらしい。今の米国には、9.11直後のような好戦的な気分はないし、したがって、共和党と雖も戦争を推進しようという雰囲気には至っていない。

ところが、ネタニヤフは、オバマのやっていることを「バッド・ディール」と決めつけ、場合によっては、単独でもイランへの制裁を厭わない姿勢を示している。仮にネタニヤフが口先だけではなく、本当にそうした場合、つまりイランとの戦争状態に入った場合、アメリカがその尻拭いをしてくれるかどうか、はなはだ心もとないというべきだろう。アメリカで、戦争をするについて最終的な判断を下すのは大統領であり、その大統領と「グッド・ディール」ができない状況では、ネタニヤフと雖も、手をこまねくしかないだろう。

ともあれ今回の事態は、アメリカとイスラエルが変な結びつき方をしているということを、世界中に明らかにしたのではないか。







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