日本の歴史修正主義への警告

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先日「外国特派員の目から見た日本の報道の自由」と題して、最近の日本の歴史修正主義的な動きに対する外国人ジャーナリストの受け取り方について、このブログでも紹介したところだ。この記事は、外国特派員協会の機関誌に掲載されたこともあって、日本にいる外国人ジャーナリストたちに大きな反響を巻き起こしているようだ。

その反響と言うのは、この記事をきっかけにして、日頃日本に滞在する外国人特派員が抱いている日本への違和感のようなものを高められたということらしい。ここでは、そんな反響のうちから、これも日本にいる外国人に強い影響力を持つ Japann Times に掲載された文章を紹介したい(Japan's prickly revisionists by Hugh Cortazzi  )。執筆者のコータッジ氏は、英国の駐日本大使を勤めたことのある人である。

氏は、上記の小文を執筆したドイツ人記者ゲルミス氏を、立派なジャーナリストだと敬意を評したうえで、彼の活動に対する日本政府の対応を、侮辱的なものだといって厳しく批判している。そしてその背景に、日本における歴史修正主義の動きが高まっていること、しかも、政府がその先頭に立っているような事情に深い憂慮を示している。

日本政府は、ゲルミス氏については、所謂従軍慰安婦問題を巡っていやがらせを行ったわけだが、そのほかに、この問題について記述したアメリカの教科書会社に対してその記述を抹消するように圧力をかけた。氏自身も、尖閣問題についての小文を書いたところ、それが中国のプロパガンダの一環だと決めつけられた。こうした動きは、氏には日本政府による検閲のように映るらしい。また、歴史の教科書からは、南京事件や従軍慰安婦問題をできるだけ軽視するような記述もあらわれたが、これも政府による検閲(日本政府は検定といっているが)の結果のように映っているようだ。

こうした一連の動きは、すべて最近の日本の歴史修正主義の動きを反映したものだと氏は言う。そのうえで、それは日本のためにはならないと警告するのである。こうした人々は、他方では日本の優越性を誇張するが、それは世界の情勢が見えていないものの独りよがりな考え方だ。そう言って、最近の日本人がいかに国際感覚を持てなくなったかについて、氏は深い憂慮を示している。





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