安倍首相と翁長沖縄県知事のかみ合わない対話

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安倍首相が翁長沖縄県知事との初の対話の場を持った。だが、実のあるある対話とは程遠かったようだ。というのも、安倍総理には翁長知事の要求にまともに答えようとする姿勢が伺えず、翁長知事のほうも、沖縄の人々の思いを一方的に述べたという印象が強い。要するに、話が全くかみ合っていないわけだ。

このような対話の場が設けられるということは、普通なら、当事者の間での何らかの合意が期待されるわけだし、そのために当事者双方に妥協の姿勢が求められるところだ。ところが、今回の対話からは、妥協どころかまともに話し合おうとするような雰囲気が伝わってこない。両者とも、自分の言いたいことを言ったと言うだけの話だ。

こういうと、責任は両者のいずれにもある、という風に聞こえるかもしれないが、その重さは同等ではあるまい。やはり、安倍首相の方に、より重い責任があると言えよう。その責任に、安倍首相は全く答えようとしなかった、それがこの対話をかみ合わないものにした最大の原因ではないか。

大体、日本の一地方の問題を巡って一国の首相が乗り出してくるのであるから、何らかの解決策を携えて出てくるのが常識だと思う。抜本的な解決策とはいえないまでも、問題を共有して、ともにその解決に向けて努力しましょうという姿勢を見せるのが筋というものだ。それなのに、安倍首相は、自分の言いたいことを自分の言いたいように言い放って終りにした。これでは、身も蓋もないというものだ。

安倍首相のこうした行動様式は、議会の質疑でも見られるとおりだ。質問者の言うことにまともに答えようとせず、自分の言いたいことだけをダラダラとしゃべり続ける、というのが安倍首相独特のやり方だ。まあ、議会の場だから、たぬきやむじなの同類も多いことだし、ある程度は政治的マヌーバーとして割り引いて見なければならないところがあるだろう。だが、今回は、沖縄県の知事が相手だ。しかも議題は、米軍基地をめぐる沖縄の人々の深刻な思いについてだ。そんな場で、相手の言うことにまともに答えず、自分の言いたい事だけを滔々としゃべる、というのは成熟した政治家の態度ではないだろう。

ひとつ気にかかったのは、翁長知事が安倍首相に対して、今度アメリカへ行った時には是非、沖縄の気持ちをアメリカの政府に伝えて欲しいと要望したということだ。これは、日本の政府には期待できないので、直接アメリカさんに沖縄の気持ちを伝えたいという願いからだろう。安倍首相に何を言っても暖簾に腕押しなら、直接アメリカに要求をぶつけようというのだろう。これは傍目にも異様に映る。





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