安部政権の言論弾圧

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安部政権の与党自民党が、テレ朝とNHKの幹部を呼びつけて、個別の番組について注文をつけた。いままでの日本の言論の歴史の上でも、ちょっとレベルの違う介入というべきだが、今のところ、メディアも含めて、あまり大きな騒ぎにはなっていない。見ているとどうも、メディアはメディアで、権力にやられっぱなしで、まるきり意気地がないように見えるし、一般世論のほうもあまり大きな関心を寄せていないように見える。

一昔前なら、ちょっと考えにくいこのような状況が、いとも簡単に現出している、というのは、ある意味恐ろしいことだ。

安部政権の、メディアをコントロールしようとする意欲は大変なもののようだが、彼らがその意図を隠そうとせず、露骨に言論弾圧に邁進しているのは、世論からたいした反発はないと見くびっているからだろう。

とにかく、自分の意に沿わないメディアを、完璧に骨抜きにしようというような意欲が強烈に伝わってくる。権力による直接の弾圧のほかに、ネトウヨ・ネトサポと呼ばれるような安部シンパの応援も得て、反権力的な言論は徹底的に叩いてやろうという姿勢だ。ところが今の日本のメディアには、そうした姿勢を跳ね返すだけの度胸がないように見えるし、世論もまた、それを大して怪しまないように見える。

安部政権は、国内のメディアを弾圧する一方で、外国のメディアについても目を光らせ、安部政権に対して批判的な言論をなんとか駆逐したいと考えているようだ。その例として、先日ドイツの新聞記者の書いた一記事が言及しているような事態がある。これは、記者の本国の本社に外務省の出先機関がアタックし、安部政権を批判した記事と記者本人に対して妨害行為をしたということらしいが、このようなことは、国際常識からすれば、到底ありえないような行為だ。それを、安部政権の政府機関が公然と行っているというので、筆者などは、現下の日本の言論状況に深刻な不安を感じさせられたところだ。

こんな調子で安部政権が言論弾圧に現を抜かしていると、国内的にはメディアのロシア化が進むだろうし、対外的には、日本の言論状況に対する信頼を根本的に毀損するだろう。

プーチンのロシアには、プーチンに対して批判的なメディアはないに等しい。それどころか、プーチン礼賛を叫ぶようなメディアばかりだ。日本でもそうならない保障はない。そうならせないためには、メディアの踏ん張りは無論、国民も監視していく必要がある。まさかプーチンのロシアと同じような言論状況が日本でも現出することを、どのメディアも安部政権を礼賛してやまないというような状況が現れることを、ほとんどの日本人は望んではいないだろう。






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