安倍首相のアジア・アフリカ会議での演説

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インドネシアで開かれているアジア・アフリカ会議(バンドン会議)の60周年記念首脳会議の席上、日本の安倍晋三首相が行なった演説の全文を、ネットで入手したので、参考のため引用しておく(アジア・アフリカ会議での安倍首相スピーチ全文 )。

この演説は、連休中の米議会演説や夏に予定されている安倍談話の露払いとしての意義を持っているとして、各方面から大きな関心を集めていたものだ。筆者としては、この演説へのコメントは差し控えるが、これを紹介しているメディアの論調に、飯を噴き出したくなるものがあったので、それについてちょっと触れておきたい。

たとえば読売だ。読売は、早速WEB版でこの演説についてコメントを出しているが、その内容は二点、ひとつはアジア・アフリカ諸国を前にして、安倍首相が、先の大戦について「深い反省を表明」したとする点、もうひとつは「おわびに触れず」としている点だ(首相演説「深い反省」表明...「おわび」に触れず  )。

この演説の文章を素直に読めば、安倍首相が深い反省を示しているのは、第二次大戦という事象についてであり、それ以上でも以下でもない。あたかも、第二次大戦が起きたことを、アジア・アフリカ諸国の一員として遺憾に思い、反省しなければならないと、言っているのと同じだ。そのような反省なら、安倍首相ならずとも、世界中の誰でもしたくなるところだろう。要するに、日本の責任については、一切語っていないということだ。筆者は、それがいいとか、よくないとか、言うのではない。だが、こんな言葉を根拠にして、安倍首相が日本の責任についてコメントしたと言わんばかりの読売の理屈がおかしいと思うだけである。

安倍首相は、日本の責任に言及していないわけだから、それについて「おわび」を言うはずがない。責任を問題にしていないのであるから、「おわび」のしようもないのだ。それなのに読売は、ことさらに「おわび」を問題にする。そこのところが筆者にはちょっと引っかかったので、あえて贅言を弄した次第だ。





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