モルシ元エジプト大統領に死刑判決

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エジプトの裁判所が、モルシ元エジプト大統領に死刑判決を下した。罪状は、反ムバラクデモの最中に自身が脱獄したほか、ムスリム同胞団の活動家ら約2万人の脱獄に関与したというもの。先日は、大統領時代に反モルシデモを弾圧した罪状により禁固20年の判決を受けたばかりだ。訴追案件はこれ以外にもあり、今後順次裁判が行なわれる予定。そのたびに、死刑判決が重なると思われる。

今回の裁判では、他にも100人以上の被告が死刑判決を受けた、そのなかには反ムバラク運動以前から服役中のパレスティナ人やすでに死んでしまった者、あるいはエジプトに不在のものも含まれており、裁判の正当性に疑問がもたれているが、アル・シーシ政権としては、そんな疑問はどこ吹く風、ムスリム同胞団の撲滅に邁進しているといったところだ。

アル・シーシ政権が強気なのは、アメリカ始め欧米の有力国からの圧力はたいしたことはないと踏んでいるからだろう。アメリカは、ムスリム同胞団よりもアル・シーシのほうがはるかにましだと考えているし、フランスやドイツも、アル・シーシを口先では批判しても、内心ではムスリム同胞団の復活は望んでいない。イスラエルがアル・シーシを支持しているのは無論である。エジプトはヨルダンと並んで、中東ではイスラエルと友好関係にある貴重な国だ。

日本の安倍首相も、先日わざわざエジプトまで出かけて行って、アル・シーシと堅い連帯を確認したばかりだ。安倍首相は、アメリカの友だちは自分の友だちだと思っているフシがあるので、アル・シーシにも親しみを感じたのだと思われる。その反面、アラブを軽視ないし敵視する姿勢を見せ、その結果、ISによる日本人殺害事件につながったことは記憶になまなましい。

アル・シーシは、磐石の権力を背景に、治安の維持には成功しているが、経済のほうは惨憺たる状況のようだ。今後いかにして経済を立て直すか、それがアル・シーシ政権最大の課題になるだろう。








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