米中の軍事衝突はありうるか

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ケリー米国務長官が中国と韓国を訪れ、それぞれ安全保障問題について意見を交わした。ケリー長官は、中国に対しては、南シナ海における領土拡張的な動きをけん制する発言をしたが、中国側は、(主権の行使という)当然のことをしているのであって、他人のアメリカからとやかく言われる筋合いはないと反発した。

アメリカ国内では、中国による南シナ海の実効支配に強い懸念があり、また、フィリピンやベトナムなどがアメリカの強い介入を期待していることもあって、中国に対して腰を引くわけにもいかないというわけか、当該海域への米軍のプレゼンスも検討しているようだ。もしそんな動きが現実化したら、米中の軍事衝突の可能性は一気に高まる恐れがある。

韓国に対しては、日米韓が一体となって中国にあたる必要上、日本とは仲良くして欲しいと要望した。これに対して韓国は、日本が集団的自衛権の行使に踏み切ったことを取り上げ、それの韓国への脅威的影響について言明した。朝鮮半島有事の際に、日本は集団的自衛権を行使して朝鮮半島に進出し、そのまま居座るのではないか、と懸念しているというのだ。つまり韓国は、日本を信頼できる同盟国ではなく、油断ならぬ侵略者として認識しているわけだ。

この意見を聞かされたケリー長官は、さすがに仰天したようである。日韓は東アジアにおける米戦略の不可欠の両輪ともいうべきなのに、その両輪がかみ合わないばかりか、全く違う方向に向いているのでは話にならない。そこでなんとかこの両輪がかみ合うように、ケリー長官は日韓両国に仲良くしろとのメッセージを送ったのだが、どうやら日韓両者とも、それをまじめに受け止める気はないようだ。

日本の安倍政権とそれを支える極右勢力は、韓国ごときになめられてたまるかと思っているようだし、韓国の方でも、かつて自分の国をレープ(植民地支配)した日本を、心の底から信用しているわけではない。というより、場合によっては、日本の脅威に対抗するために、中国と手を結ぶことまで考えているようだ。そうなったら、アメリカは東アジアのリバランスなどと、悠長なことを言っている場合ではなくなる。

アメリカとしては、日韓と密接に連携を取りながら中国に対抗する、場合によっては中国の封じ込めを図る、という戦略が足元から崩れるわけだ。そんな状態で中国と一戦を構えるのは危険というものだろう。









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