衆議院の憲法審査会で、各党の推薦で参考人として招致された憲法学者三人がそろって、安倍政権が成立を目指している新たな安全保障関連法案について、違憲であるとの意見を述べた。その中には自民党が推薦した早大教授長谷部恭男氏も含まれていたというので、自民党では大騒ぎになったそうだ。
長谷部教授が、今回の自民党による安全法制の見直しに批判的であったことはよく知られていたことだ。それにもかかわらず、このような学者を推薦したのは、大政党としての度量の広さを示すつもりだったのか。
どうやらそうではなく、単純なミスだったようだ。自民党ではどうも、長谷部教授が自分たちの意見とは反対の意見を持っていることに十分目が届いておらず、その結果このような事態になったらしい。
つまり、自民党は憲法学会の動向にほとんど関心を払っていなかったということらしい。いままさに憲法解釈を大胆に変更しようとしている矢先、憲法学会の動向に眼をくばるのは最低限必要な姿勢だと思われるが、自民党にはそういう意識はなかったようだ。
先日は、安倍総理大臣自ら、今日の憲法学会を代表すると言われる憲法学者について、その見解はともかく、名前も知らなかったことが話題となったが、今回は自民党全体が、憲法学界の動向にほとんど無関心だったということがあぶりだされた形だ。
だが、政権の番頭である菅官房長官は、憲法学者の意見などは頭から問題にしていないようだ。その言い分を聞くと、憲法を有権的に解釈できるのは自分ら時の権力者であって、曲学阿世の学者などではない、と言いたいかのようだ。
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