高雄へ:アヒルの台湾旅行その一

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(高雄三鳳宮)

アヒルの仲間たちと台北に旅したのは八年前、平成十九(2007)年のことであった。七羽のアヒルが参加し、台北中心部のシェラトン・ホテルに二泊して、台北市内の名所を見物したほか、九份に脚を伸ばしたりもした。その折には、結構楽しい思いをしたし、また食事もうまかったので、同じメンバーでもう一度行ってみたいね、ということになった。そんなわけでプランを立てて参加者を募ったところ、五羽が加わることになった。小生のほか、静ちゃんアヒル、少尉アヒル、横ちゃんアヒル、今ちゃんアヒルである。伊豆長岡に旅したときとちょうど同じメンバーである。

前回は台北に二泊しただけであったが、今回は台湾南部にも行ってみようということになり、高尾にも一泊し、台北の二泊とあわせて三泊の日程をとった。旅程は、成田から飛行機で高尾に直行し、高尾、台南の名所を見物したあと、台南から新幹線に乗って台北に至るというものであった。新幹線への乗車は、横ちゃんアヒルのリクエストに特別に応えたものである。

今回も、前回に劣らず楽しい旅になった。とりわけ食事については、自分で目当ての店を選んで行ったのが当たったというか、なかなかうまいものを食うことができた。旅の醍醐味の過半は食事の良し悪しで決まるとすれば、今回は大当たりだったと言えよう。

以下は、今回の台湾旅行についての日記である。

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(高雄の地下鉄塩埕埔駅)

平成廿七年六月十九日(金)午前十時頃成田空港第一ターミナル四階に赴き、かねての打ち合わせどおり、静ちゃんアヒル、少尉アヒル、横ちゃんアヒル、今ちゃんアヒルと落ち合い、12時45分発長栄航空BR107便に搭乗。飛行機は、雨中午後二時に離陸し、同4時40分(台湾時間同3時40分)高雄空港に着陸陸した。空路沖縄に至るまで厚い雲を眼下に見ていたが、台湾上空に差し掛かる頃から雲に切れ間が見えるようになり、高雄に着陸したときには雲ひとつない晴天になった。

入国手続きをすませて到着ロビーに至ると、現地案内人蘇氏が出迎えに来ていた。彼の役目は我々をホテルまで送り届けることですと言い、明日は他の人物が我々をホテルまで迎えに出向き、案内差し上げる予定ですと言う。まず空港内銀行窓口にて両替する。日本円一万円に対して台湾元2400元(一元あたり4円)ほどのレートである。

空港の建物を出るとむっとするような暑さ。蘇氏が言うには、今の季節は平均して32度から33度の暑さですと。明日行く予定の台南は更に暑く、40度近くになることもめずらしくないと言うので、来て早々気勢をそがれた感じになった。

高雄の街中は、いたるところオートバイが目立った。それも、複数の人を乗せているものが多い。二人乗りは当たり前のことで、中には4人も乗っているものがある。交通法規上は、大人二人までが限度であるが、子供は数に入らないので、5人でも6人でも乗ることができる。高雄の人々は、オートバイを通勤のほか家族の移動手段にも使っているので、休日には家族全員がオートバイに乗って、遊びに出かけるとのことである。事故が起きるのも珍しくはないようだが、それがもとで交通ルールを強化する動きはない。事故で死んでも、一家であの世にいければ、文句を言うことはないというわけであろう。

中には、犬を後ろに乗せているものがある。犬は主人の背中にぴったりと寄り添い、尻尾で器用にバランスをとりながら、振り落とされないように必死である。小さな頃からオートバイに乗せられているうちに、犬なりに安全に乗ることを覚えるのだそうである。

華王大飯店(ホテル・キングダム)というホテルに投宿した。愛河という川が港に流れ込む近くに位置している。このあたりは、高雄の歴史地区の一角と言い、また日本の植民地支配の余韻を感じさせるところとも言う。なかなか変化に富んだ眺めを楽しめるところである。

ホテルで一息入れた後、食事をとりに外に出た。事前の目論見では、ホテル近くにある(七美望安という)海鮮料理屋にいくつもりだったが、改めてネットで調べてみると、いかにも場末の飲み屋といった風情。静ちゃんアヒルにも見せたところ、ちょっとわたしのイメージじゃないわ、というので、他の店をあたった。その結果、地下鉄市議会駅近くにある海王子餐庁という店に行こうと言うことになった。

ホテルの西へ歩いて数分のところにある塩埕埔という停留所から地下鉄に乗った。市議会車站はその次の停留所であった。そこから歩いて海王子餐庁に向かう途中、面白い張り紙が目に留まった。「男性増大器、女性威而柔」と書いてある。どうやら男性用強壮剤の宣伝文句らしい。我々老いたアヒルには、もはや強壮剤は(オスのアヒルにとっても、メスのあひるにとっても)必要ではないので、そのまま通り過ぎたのであった。

目当ての海王子餐庁は大通りに面したビルの二階にあった。一階が廃屋のように荒れ放題になっているので、まさかここに一流の店があるとは思えない。しかし、外観はひどくても、店の内部はこぎれいで快適にできている。しかも、結構繁盛しているように見えたのは、味がいい証拠だろう。

ここで料理数品を注文し、ビールと紹興酒を飲みながら食事を楽しんだ。注文した料理は、クーシンサイの炒め、白身魚(名不詳)の姿あげ甘酢あんかけ、大きなカニ(名不詳)の姿焼き、牡蠣と豆腐の醤油炒め、イカと野菜の炒め、桜海老のチャーハン、海苔のスープであった。一皿ごとの量が多いので、これだけで満腹した。どれも微妙な味で頗るうまい。みな舌をうちながら満足そうに食った次第だった。

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(高雄六合夜市)

食後再び地下鉄に乗り、隣の美麗島車站で降りた。外へ出ると、路上に屋台が連なっている。これは六合夜市といって高雄で最大規模の夜市だそうである。長さ数百メートルにわたり、屋台がひしめいている。八年前に台北で見た餃河街夜市より規模は小さいが、賑わいは劣らない。子供連れの家族が一家で食事を取っている風景も同じだ。

夜市を覗いて歩くのはなかなか楽しい。中に、男根の形をしたお菓子を見かけたので、店番の若い女性にいろいろと聞いてみた。これは、パイナップルケーキを男根の形にしたものだそうで、陰茎の根元には睾丸も着いている。店番の若い女性が、旦那さん、奥さんへのおみやげに買ってらっしゃいよ、と言うので、こんなものを買って帰ったら、張り飛ばされてしまうよ、それよりあんたにプレゼントしてやろうか、と言ったところ、私はまにあっているからいりません、と言われた。

こんなわけで、今回の台湾旅行も初日から楽しんだ次第。ホテルへ戻ってから、一部屋に集まってウィスキーを飲んだのは言うまでもない。







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