故宮博物院:アヒルの台湾旅行その五

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(故宮博物院)

免税店を出た後、円山ホテルの脇を通って故宮博物院に向かった。地下の入り口から中へ入ったが、ロビーは膨大な数の人間で埋まっていた。三連休の最後の日曜日にあたっているので国中から観光客が押しかけたのだろうと言う。観光客は国内からに限らず大陸からも大勢やって来ているに違いない。いまや中国人のツアー客は世界中を闊歩しているようだから。

団体向けの交互通信システムのようなものを配布され、ガイドの葉氏に先導されて館内を歩いてゆくと、ヘッドホンを通じて葉氏が展示物の説明をしてくれる。この博物館には、常時一万点の宝物が展示されており、そのうち三千点が常設展示だと言う。残りの7千点は、一年交代で展示されるが、なにしろ収蔵品の数は60万点以上になるから、それらのすべてが展示されるには、気の遠くなるような長い時間が必要だ。

常設展示物の中でとくに人気のあるのが、キャベツの葉っぱにキリギリスが止まっているところをイメージした水晶の彫物と豚の角煮をかたどった陶器だ。どちらも清代の製作で、そんなに大きなものではないにかかわらず、なぜか周代の青銅器などよりはるかに人気があるのだと言う。その周代の青銅器もいくつか見せてもらったが、この博物院がもっとも自慢している明代の陶磁器は見る時間がなかった。

故宮博物院のある郊外から市内へ戻ってくると、一軒の土産物屋に案内された。ここも以前入ったことのある店だ。到着する前に、葉氏がバスの中で、ビデオまで持ち出しながら、しきりに北投石の宣伝をしていたので、我々は自然とその石の売り場に向かった次第だった。この石は、台北郊外にある北投温泉で採れる石で、強い放射線を含有している。その放射線が健康にいい作用をするのだそうで、葉氏の両親もこれを愛用しているおかげで100歳を超えた現在も健在なのだと言う。葉氏自身も常にこの石の腕輪をはめているが、おかげで病気一つしたことがない。これはうそでも偽りでもない。うそだと思ったら、お客さん自身の目で確かめて欲しい。とまあ、こんな具合に言うのだが、要するに店に代って北投石の宣伝をしているわけである。

小生は、こんな話を真に受ける習慣はないので、適当に受け流していたが、今ちゃんアヒルは暗示にかかりやすいと見えて、北投石の腕輪をひとつ、これは自分のために買ったのだった。ところが、わたしは暗示にはかかりにくいのよ、と日頃言っていた静ちゃんアヒルまで、釣られて買ったのには驚いた。一つ4万5000円というから安い買い物ではない。そのためこの二羽は、台日友好に貢献したと言って、葉氏から褒められたのであった。

こんなわけで、またもや散財したアヒルたちはバスへと乗り込んだのだったが、そのアヒルたちが店から出て行くのと入れ替わりに、大勢のカモたちが入って来たのだった。彼らも絶好のカモになるにちがいない。

四時半頃ホテルに着くと、バケツをひっくり返したようなすさまじい雨が降ってきた。台湾特有のスコールだ。今夜は、中山国小近くにある欣葉という台湾料理店に6時に予約していたのだが、その前に、松山空港近くにあるパイナップルケーキの店に是非行きたいと静ちゃんアヒルが言い出した。そこで、小生と少尉アヒルが静ちゃんアヒルに付き合うこととし、横ちゃんアヒルと今ちゃんアヒルは別途直接欣葉に向かうということになった。

激しい雨の中、タクシーに乗って微熱山丘というケーキ屋に行くと、若い娘さんに奥に案内されて、パイナップルケーキとウーロン茶をご馳走になった。店内はたいした込みようだ。非常に有名な店で、日本の青山にも出店していると言う。我々はケーキをご馳走になった後、それぞれに土産を買い求めると、まだ降り止まない雨の中をタクシーに乗って、食事会場の欣葉に駆けつけた次第だった。

この店は台湾料理で有名なところで、小生も以前別の仲間たちと一緒に入ったことがあった。その折も非常に込んでいたことを覚えているが、この日の込み具合もすさまじかった。昨夜の梅子とは違って、客はほとんどが中国人である。しかし、ウェイトレスの中には日本語を話す者もいるので、日本からの客も多いに違いない。

以前入ったときには、鶏の睾丸といったゲテモノに近いようなものを食った覚えがあるが、今宵のメニューには、そうしたゲテモノの類は見当たらなかった。注文した料理は次のとおりである。肉入りの卵焼き、鯛の姿揚げ甘酢あんかけ、ホタテと野菜の醤油味炒め、蝦とシイタケの炒め、イカとセロリの炒め、白身魚の団子、ほうれん草の青菜炒め、青椒鶏子、杏仁豆腐。

食事を終えて外へ出ると、雨はやんでいた。中山国小駅まで歩き、そこから地下鉄に乗ってホテルに帰った。今夜は疲労が募って二次会をする気にはならず、みな部屋に入るとすぐにベッドにもぐってしまった。






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