北斎諸国名橋奇覧(二):すほうの国きんたいはし、かめゐど天神たいこはし

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(すほうの国きんたいはし)

「すほうの国きんたいはし」とは、山口県岩国市にある錦帯橋のこと。徳川時代の初期に、岩国城と城下町をつなぐ橋として、錦川に架けられた。その奇抜な姿から、日本三大奇橋に数えられ、北斎の時代にも有名だったようだ。

橋は五連のアーチからなっており、アーチを支える橋脚は石組でできている。この頑丈な石組のおかげで、この橋は度重なる洪水にも流されなかった。

この絵では、手前に城下町の家並みが、向こう岸に岩国城が描かれている。実際の岩国城は、此の角度からは見えない筈で、小高い丘のような山の上に立っている。なお、橋脚の基礎の部分がぼかされているのは、意図的にそうしたのか。

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(かめゐど天神たいこはし)

「かめゐど天神たいこはし」とは、東京の亀戸天神の境内の池に架っている小さな橋のことだ。太鼓橋は、大鳥居近くと本殿前との二か所にあるが、どちらも、あっと言う間に渡ってしまえるほど小さな橋だ。

この絵の橋は、手前に人家が見えることから、大鳥居寄りのものかもしれない。文字どおり太鼓を二つに切り分けた片割れのような形をしており、橋の上の大人との対比からは、結構大きなイメージを与える。

亀戸天神は、藤の名所としても知られるが、この絵でも、右手に藤と思われるものが描き加えられている。








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