北斎花鳥画(二):鷽・垂桜、芍薬・カナアリ、雉と蛇

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(鷽・垂桜)

これは背景をプルシャンブルーで青く染め抜き、それとのコントラストでモチーフを浮かびあがらせるような効果をねらったもの。モチーフの強調には成功しているが、文字の方は背景に溶け込んでよく判別できない。

垂桜の垂れた枝に白い花が咲き、細い枝には鷽(うそ)が、下向きに止まっている。鷽の特徴は、黒い頭とオレンジ色の頬だが、この絵はその特徴をよくとらえているといってよい。

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(芍薬・カナアリ)

これは、上の絵とセットとなるもの。芍薬の花に一羽の小鳥が停まろうとしている瞬間を捉えたものだ。カナアリとはカナリヤのこと。カナリヤは徳川時代に日本に入ってきたが、小鳥の声を喜ぶ日本の文化に適合して、たちまち人気者になった。

芍薬は、花の方はよく画けているが、葉っぱの形がやや雑なように見える。

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(雉と蛇)

これは、中版の横絵で、天保4~5年ころに刊行された。雉と蛇との死闘を描いた絵である。北斎は、このテーマが好きだったようで、ほかにもいくつか作例がある。

蛇が雉の体に巻き付いて締め上げ、いまにも雉の顔に食いつこうとしている。なんとも凄惨な眺めというべきだが、それほど凄惨な感じは伝わってこない。







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