当時全盛似顔揃:歌麿の美人画

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(兵庫屋内花妻 大判錦絵)

寛政六年に写楽が歌舞伎役者の似顔絵を出したのに対抗して、歌麿が吉原の芸者の似顔絵シリーズを若狭屋から刊行した。今に伝わっているのは四枚である。このシリーズの絵は、女のしぐさや表情に誇張がある。おそらく写楽の誇張した描き方を意識したのだろうと思われる。

これは兵庫屋という店の看板花妻を描いたもの。両手で手紙を握りしめているところは、この女性の情熱的な気質を表しているようである。着物の黒が、その情熱を盛り立てるような効果を発揮している。

外題のわきに「さくらにほひ」とあるのは、桜がにおうように華やかだという意味か。

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(扇屋内花扇)

こちらは、花妻とは対照的におっとりした性格が伝わってくる。表情にくつろぎが感じられ、着物のきこなしもぞんざいだ。

こちらは外題のわきに「よしのたつた」とある。吉野の竜田川の連想か。








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