
(若葉屋内 若鶴)
若葉屋の売れっ子芸者若鶴を描いたもの。前出の花紫や小紫に比べると、やや成熟を感じさせる。その女が、唇で筆を加え、巻紙を巻いているのは、恋人への手紙を書き終わったところか。
頬のふっくらとした表情といい、ぱっちりとした目といい、豊満な色気を感じさせる。
外題には、ねの日、まつ治、とある。

(滝川)
この絵は、他のものと異なり、抱えの店の名称や外題が省かれている。題名の滝川は、この女性の名だろう。
当時全盛似顔揃のシリーズと異なり、当時全盛美人揃のシリーズは女の美しさそのものを表現することに眼目があったので、かならずしもモデルを特定する必要はない、歌麿はこのように考えて、余計な注釈を省いたのかもしれない。
この絵の中の女は、身をかがめて手紙に見入っている。当時の日本は、遊女でさえ読み書きができた、ということを、こうした作品から実感できる。
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