梅花小禽図:若冲動植綵絵

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年期に「宝暦戌寅春」とあることから宝暦八年(1758)の作だとわかる。年期の表示のあるものの中でもっとも古い作品だ。画面の左下から右上に向かって梅の老木の幹を配し、幹から上に伸びた夥しい数の枝に無数の梅花を散らしている、その花の合間からは八羽の小鳥が覗いている。

老梅の幹や、下部の土坡に、墨で陰影をつけているところは、若冲の技法上の特徴。もっともそのことで、陰影を演出しようとする意図は、あまり強くはないようだ。

大典和尚の「藤景和画記」には、これを「碧波粉英」と題し、「白梅臨水横斜、枝糾花満、爛漫蓓蕾、白眼雀翩集枝上六」と記している。「白眼雀」とは白目の鶯のつもりか。またそれが六羽いるというのは誤りで、実際には八羽である。

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小禽の部分を拡大したもの。形はたしかに鶯のようだが、鶯の目は白くはない。若冲は鶯と目白を混同したのかもしれない。(142.9×79.5cm)







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