大鶏雌雄図:若冲動植綵絵

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「大鶏雌雄図」とあるこの絵の鶏が、どんな種類のものかはっきりしないが、色彩が鮮やかなオスと、黒い地味なメスとの組み合わせは、薩摩地鶏を思わせる。おそらく、地鶏の一つなのだろう。若冲は、その大鶏の雌雄一対を画面いっぱいに描いた。

この絵の最大の特徴は、背景を極端に単純化したことだ。地面の存在を連想させる一本の線のほかは何も描かれていない。曖昧な色彩で塗りつぶしてあるだけだ。その曖昧な色彩をバックにして、鶏のほうは、オスが極彩色で描かれ、メスが黒っぽく描かれている。オスとメスは互いに視線を交しているように見える。そのため、絵に一定の動きが生じている。

左上に「宝暦巳卯年平安錦街居士若冲造」とあるところから、宝暦九年(1759)の作だとわかる。(142.3×79.1cm)なお、大典和尚はこの絵を、「聨歩祝々」と題した。

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これは鶏の部分を拡大したところ。雄鶏の色彩が、黒を有効に使って、明暗対比を際立たせていることがわかる。








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