中国が一人っ子政策に終止符

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中国が1979年以降行ってきた一人っ子政策に終止符を打つこととなった。来年3月以降、すべての夫婦が2人目を生むことができるようになる。2人目の子どもを産むことを、夫婦のいずれかが一人っ子である場合に許されるよう転換されたのは、わずか3年前の2012年のことだったが、それでも深刻な人口減少傾向に歯止めがかからなかったため、夫婦が望めば無条件で2人目を生むことができるようにしたものだ。

まだ、2人目を生むことができるだけで、3人以上の子どもを産むことはできない。中国政府としては、人口減少に歯止めをかけたいと思う一方、一気に手綱を緩めて人口が爆発的に増大することも望んではいないということらしい。だが、子どもの出産数を全面解禁したからと言って、人口が爆発的に増えると予想する者は、専門家を含めて余りいないようだ。これまですでに、中国の女性1人当たり出産数は著しい減少傾向を示しており、それが今回の措置によって大きな影響を受け、爆発的な上昇に転じるとは予想されていないのだ。

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上の表(CNNの記事から引用)は、既存の政策が続けられた場合の人口の推移と、今回の政策変更による人口の推移を比較したものだ。一番下の曲線は現行のまま推移したとした場合の人口予測、2030年をピークにして減少に転じ、2050年には13億5千万人を割り込むと予測される。そのすぐ上の曲線は、来年以降2人っ子政策が適用され、そのまま推移した場合の人口予測。やはり2030年がピークで、それが2050年には13億7千万人強まで減少する。その下の曲線との差は約2千3百万人である。ちなみに一番上の曲線は、すべての女性が2人ずつ生むと仮定した場合の人口の推移である。

この表からは、中国がすでに強い人口減少圧力にさらされており、人口政策を多少いじくったくらいでは、その傾向に歯止めがかからないということが読み取れる。ということは、子どもの出産を政治的にコントロールしようとしても、人口の趨勢にはあまり影響を及ぼさないだろうということだ。








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