黄金狂時代( The gold rush ):チャーリー・チャップリン

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チャップリンの映画「黄金狂代( The gold rush )」は、いわゆるチャップリン喜劇の集大成といえる作品だ。小男が大男を相手にして、頓知や機転そしていささかの偶然に助けられて大立ち回りを演じる傍ら、可愛い女性に淡い恋心を抱く、その過程でさまざまな奇想天外な出来事が起こり、観客はつねに笑いの発作に巻き込まれる、喜劇としては理想的な出来栄えになっている。

「黄金狂時代( The gold rush )」という題名には、風刺的な意味合いはほとんど含まれていない。ゴールド・ラッシュで湧くアラスカが舞台となっている、というくらいの意味合いだ。そこを舞台にして、ご存知チャップリンが登場し、ありとあらゆるいたずらを演じた挙句、相棒が金鉱を掘り当てたおすそわけにあずかり、最後には億万長者に出世して、思い人と結ばれるといった単純な筋書だ。喜劇の筋書は単純でなければならない。

見せ場は沢山あるが、中でも抱腹絶倒させられる、とりわけ愉快な場面が三つある。一つ目は、飢えたチャップリンと相棒の山師が、少しは腹の足しになるだろうと、靴を茹でて食べるシーン。二つ目は、小屋に招いた思い人とその友達を前にダンスをご披露しましょうと称して、フォークを指したロールパンを人間の足に見立て、それを器用に動かしながらダンスをしているように見せかけるシーン、三つ目は断崖絶壁に今にも落ちそうになりながら、かろうじてとどまっている小屋の中で、悪戦苦闘した挙句危機一髪で脱出するシーン、以上の三つだ。なかでも、断崖絶壁のシーンは、チャップリン映画の中でも最も迫力のある場面であり、見ているものは手に汗しながら腹を抱える羽目になる。

ロールパンのダンスのシーンは、映像だけでも面白いが、1942年のサウンド版では、音楽に合わせて足が動き、実にタイミングがあっている。チャップリンの豊かな表情のおかげで靴まで表情があるように錯覚させられる。

このほか、街のキャバレーでチャップリンが大男をノックアウトする場面は、チャップリンの定番というべき演出だが、チャップリンが直接ノックアウトするのではなく、偶然のいたずらがノックアウトするところなどは実に愉快な見ものだ。このキャバレーの場面では、チャップリンが思い人と踊るシーンも出てくるが、例によって意表をついたチャップリンの行動が、見ているものを爆笑させるというわけである。

こんなわけで、この映画はダラケることなく観客を笑わせ続ける、喜劇としては実に律儀な映画と言ってよい。







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