自動運転技術は何を変えるか

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自動運転技術の進歩が目覚ましい。この調子だと、自動運転車が普及するのもそんなに遠いことではないと言える。それが人間の生活スタイルにもたらす影響についてはさまざまに論じられているが、その場合に最も肝心な視点は、自動運転技術の進展が人間にどんなマイナス効果を与えるかということだ。

自動運転技術を支えているのは、人工知能の進化だ。人工知能と言えばこれまで、コンピューターやロボットの技術を中心に開発が進んできたが、自動運転技術を全面的に支えるような人口知能は、レベルが違う。人間の知能に限りなく近くなり、人間の脳にとって代わるような可能性も持っている。

運転を自動的にコントロールするためには、視覚情報を適切に処理しながら、咄嗟の判断をよどみなくすることが必要になる。これは、人間の脳が日々行っていることに限りなく近いことを、人工知能がすることを意味する。

だいたい、地球上の動物の脳は、視神経が肥大化したことから始まったとされる。動物の生存にとって最も重要な視覚情報を、適切に処理し、環境に適応する機関として脳は出発した。その後の進化の過程で、他の感覚についても処理するようになり、ひいては高度の情報処理能力も持つようになってきた。それと同じようなプロセスを、人工知能が自動運転技術の領域でたどるようになるわけだ。

動物の脳の進化と同じようなプロセスを、人工知能もたどるに違いない。その進化は当面は人間のコントロール下に置かれているだろうが、進化のレベルが或る程度の段階を超えると、人工知能は、自分で自分を再設計したり、再生産するようになると思われる。知能というものは、基本的にはそういう傾向を持っているものだ。

これは、ホーキング博士の心配している事態を想起させる。ホーキング博士は、人工知能の進化が一定の段階に達すると、自分で自分を再設計するようになると予想し、それは人間に災厄をもたらす可能性が高いと予言した。人間が、自分の作った被造物によって、支配されることとなる、というのが、災厄の最たるものだ。

とはいっても、そんな予言に影響されて人工知能の開発に待ったがかかることはないだろう。







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