「梅花群鶴図」は、枝いっぱいに咲き広がった梅花を背景に、六羽の鶴を描いたものである。鶴が六羽いることは、脚の数からわかるので、頭を数えてもわからない。それらの鶴は一様に、小さな頭と長くて細い脚が特徴だ。頭にいたっては、背後の梅の花とほとんど同じ大きさだ。鶴の頭が小さすぎるのか、梅の花が大きすぎるのか、この画面からは判然としない。
鶴の描き方には、相国寺などにあった中国絵画の影響が指摘されている。多数の鶴が重なるようになっているにかかわらず、遠近をほとんど感じさせず、まるで同じ平面にいるように描いている。ただし、鶴の羽など細部への異常ともいえるこだわりは、若冲特有のものである。
署名や作成時期についての記載はない。（142.0×79.6cm）
これは、鶴の部分を拡大したもの。鶴相互の遠近のみならず、鶴と背後の梅花との遠近も判然としない。鶴は背景から浮かび上がるというよりも、背景の梅花と一体となっている。
コメントする