雪中錦鶏図:若冲動植綵絵

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「雪中錦鶏図」は、雪化粧をしたかやの木を背景にして一対の錦鶏鳥を描いたものである。錦鶏鳥はキジの仲間で鮮やかな色彩が特徴である。オスは一メートルもの大きさになる。この絵では、そのオスが全身を見せているのに対して、メスのほうは、オスの陰にかくれて上半身のみを覗かせている。

この絵のポイントは、かやの木の葉っぱにまとわりつくようにして積もっている雪であろう。ねばねばとして水あめのように見える。雪をこのように表現した画家は他にいないのではないか。

かやの木の根元近くにはピンク色の山茶花が咲いている。そのピンクに対応するように、錦鶏鳥の腹や尾の一部が赤く描かれている。これらの暖色が利いているために、雪景色にかかわらず、寒々とした感じがしない。

左下には錦街若冲製とある(錦街とは京都錦小路のこと)。製作時期の記載はない。(142.3×79.5cm)

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これは、錦鶏鳥の部分を拡大したもの。雪のねばねばした感触が伝わってくるようだ。









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