池辺群虫図:若冲動植綵絵

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「池辺群虫図」は、水辺に実を成らした瓢箪とそれに群がる昆虫や小動物を描いたものである。描かれた生き物は六十種類もある。それらのひとつひとつを、丁寧に描き分けているのは、若冲らしいところだ。瓢箪の実も、虫に食われた後があったりして、なかなか手が込んだ描き方になっている。

単に生き物の姿を並べるだけではなく、巣にかかった獲物に襲いかかるクモとか、水辺で並んでいる蛙を狙う蛇とか、生き物なりのドラマを仕込んである。

この絵にも、並んで座る蛙の姿が真横からの視線なのにたいして、その頭上にいる蝶やトンボが上からの視線から描かれていると言った具合に、複数の視線が絡み合っている。(142.3×79.7cm)

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これは画面の下部を拡大したもの。蛙の群が真横からの視線なのに対して、おたまじゃくしと一緒に泳いでいる蛙は上からの視線で描かれている。また、左下の瓢箪は、お化けの顔のように見える。毛虫が眉毛で、黒いしみのようなものが目で、虫に食われてできた穴のなかの白いものが歯のようだ。








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