群魚図(鯛):若冲動植綵絵

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「群魚図(鯛)」は前出の「群魚図(蛸)」と一対をなすものである。明治五年の京都博覧会に陳列されたときのチラシには、一対のものとして「魚尽くし」と命名されていた。二点のうちのこちらは鯛をもっとも大きく描いているところから、便宜上「群魚図(鯛)」とした。若冲が命名したわけではない。

鯛をはじめとしてすべての魚が、左下方向を向いて泳いでいる。このように対象を同じような姿勢で一律に描くのは、若冲の大きな特徴だが、この絵の場合には、それが単調な印象につながっているかもしれない。

描かれた魚は18種類、その中には鯛のように海の深い底にいるものと、海面近くにいるものとが、区別されずに混在している。それ故、魚尽くしとも呼ばれ、魚の一覧と言ったイメージを与えた。だが、個々の魚の描き方は、かなり現物に忠実である。(142.3×78.9cm)

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これは、鯛の部分を拡大したもの。鯛の赤い色彩が、周囲の魚の地味な色彩から浮かび上がって見える。







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