鯉魚図:若冲プライス・コレクション

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「鯉魚図」は、水面から出て飛び跳ねる鯉を描いたもの。全身ではなく半身なのは、鯉の動きの躍動感を強調するためと思われる。鯉は頭を上に持ち上げ、前鰭を前方に伸ばして、大きく跳躍しようとしている。鯉の下の水面は、鯉の動きによって波しぶきを立てている。そうした躍動感が如実に伝わってくる。

鯉の頭の黒々とした彩色と、波しぶきの薄い彩色とが、鱗の中間的な明度を介して、メリハリのある色彩対比をもたらしている。絵を明暗で見せると言うのは、水墨画ならではの特徴である。

無署名で製作時期の記載もないが、「千画絶筆」の押捺があることから、「芭蕉雄鶏図」同様安永年間の作と思われる。(106.0×40.7cm 紙本)

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これは鯉の部分を拡大したもの。鱗の部分が筋目描きの技法で丁寧に描かれている。








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