ダンテとヴィルジリオが地獄の入口にやって来ると、門の上には銘文が掲げられていた。その銘文は、この門の先には永遠の地獄が控えていると告げていた。その銘文を読んだダンテとヴィルジリオは、一層意を強くして地獄へ向かって進んで行く。
我を過ぐれば憂ひの都あり、我を過ぐれば永遠の苦患あり、我を過ぐれば滅亡の民あり
義は尊きわが造り主を動かし、聖なる威力、比類なき智慧、第一の愛我を造れり
永遠の物のほか物として我よりさきに造られしはなし、しかしてわれ永遠に立つ、汝等こゝに入るもの一切の望みを棄てよ
われは黒く録されしこれらの言を一の門の頂に見き、この故に我、師よ、かれらの意義我に苦し
事すべてあきらかなる人の如く、彼我に、一切の疑懼一切の怯心ここに棄つべく滅ぼすべし
我等はいま智能の功徳を失へる憂ひの民をみんとわがさきに汝に告げしところにあるなり
かくて氣色うるはしくわが手をとりて我をはげまし、我を携へて祕密の世に入りぬ(地獄篇第三曲から、山川丙三郎訳)
絵は地獄の門の前に立つヴィルジリオとダンテ。門の上には銘文が書かれてある。文章の内容は上記本文の最初の三段落のとおりである。
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