
池大雅の十便図から「釣便」図。もとになった李漁の漢詩「伊園十便」のうち「釣便」は次のとおりである。
不蓑不笠不乘舠 蓑せず笠せず舠に乘らず
日坐東軒學釣鰲 日に東軒に坐して釣鰲を學ぶ
客欲相過常載酒 客相ひ過ぎらんと欲して常に酒を載す
徐投香餌出輕鯈 徐ろに香餌を投げれば輕鯈出づ
蓑もつけず笠もかぶらず船にも乗らず、一日東の軒端で釣りを学ぶ、客が来るたびに酒を持参するので、おもむろに釣り糸を垂れれば小魚がかかる
山荘の主人が軒端から釣り糸を垂れる様子を描く。折りしも友人が酒を持参して訪ねてきたのだろう。そんな和やかな雰囲気が伝わってくる。詩の内容をかなり忠実に再現した絵である。
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