池大雅の十便図から「吟便」図。もとになった李漁の漢詩「伊園十便」のうち「吟便」は次のとおりである。
兩扉無意對山開 兩扉意無くして山に對して開く
不去尋詩詩自來 去らずして詩を尋ぬれば詩自づから來る
莫怪囊慳題詠富 囊慳を怪しむ莫れ富に題詠するを
只因家住小蓬萊 只だ家住の小蓬萊たるに因るのみ
両扉が図らず開いて山が見える、そのまま詩を作っていると自ずから詩がなる、富を歌ったからと言ってケチだと思わないでくれ、この家が小さすぎるのでそんな詩を歌っただけだ
自分の貧乏生活に嫌気がさして豊かな生活のことを歌ったのかもしれない。しかし、絵からはそんなケチな雰囲気は伝わってこない。あくまでも小さな山荘で自活を楽しんでいる詩人の暮らしぶりが、伝わってくるだけである。
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