
地獄の第三圏の獄卒ケルベロス。ケルベロス(チェルベロ)とは、ギリシャ神話に出てくる怪物で、地獄の番犬と言われていた。その形は、頭を三つ持ち、ヘビの尾、そして首の周りには無数のヘビがまとわりついている姿であらわされる。
猛き異樣の獸チェルベロこゝに浸れる民にむかひ、その三つの喉によりて吠ゆること犬に似たり
これに紅の眼、脂ぎりて黒き髯、大いなる腹、爪ある手あり、このもの魂等を爬き、噛み、また裂きて片々にす
雨はかれらを犬のごとくさけばしむ、かれら幸なき神なき徒、片脇をもて片脇の防禦とし、またしばしば反側す
大いなる蟲チェルベロ我等を見し時、口をひらき牙をいだしぬ、その體にはゆるがぬ處なかりき
わが導者雙手をひらきて土を取り、そのみちたる土を飽くことなき喉の中に投げ入れぬ
鳴いてしきりに物乞ふ犬も、その食物を噛むにおよびてしづまり、たゞこれを喰ひ盡さんとのみおもひてもだゆることあり
さけびて魂等を驚かし、かれらに聾ならんことをねがはしめし鬼チェルベロの汚き顏もまたかくのごとくなりき(地獄篇第六曲から、山川丙三郎訳)
ケルベロスの姿形を描いたもの。全体的なイメージとしては犬に似て、三つの頭を持っている。「これに紅の眼、脂ぎりて黒き髯、大いなる腹、爪ある手」とある原詩に、ブレイクはかなり忠実に描いている。
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