「蕪村十宜図」から「宜夏」の図。もととなった李漁の漢詩「伊園宜夏」は次のとおりである。
繞屋都將綠樹遮 屋を繞って都て將(これ)綠樹の遮ぎるところ
炎蒸不許到山家 炎蒸山家に到るを許さず
日長閑卻羲皇枕 日長くして閑卻す羲皇の枕
相對忘眠水上花 相ひ對して眠りを忘る水上の花
家の周辺は緑樹に囲まれている、蒸し暑さとは縁がない、一日中羲皇の枕で睡眠を楽しむ、水上の花を眺めていると飽きることがない
緑樹が小さな山荘を囲んでいるところは原詩の雰囲気を伝えている。その山荘が池に浮かんだ小島の上にあるところも原詩に従ったつもりだろう。ただ、山荘の主が相対しているのは、水上の花ではなく、庭の一隅に咲いた目立たない花のようである。
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